AIT (Applications in Internet Time) v. Salesforce

Fed. Cir. 2026-03-16LINK

「原告適格の欠如により訴えが却下されたCAFC判決」

本件は、特に小規模授業者による権利行使時に起こりうる事案である。経営者(創業者:Nelson氏)に全ての権利が譲渡されているとしても、Nelson氏の会社(AITという法人)に権利は帰属しない。従って、AITはそもそも訴訟を提起する上での原告適格を欠くとして訴訟が却下された。AIT社が権利行使を行う場合に、まずは、Nelson氏(創業者)から権利譲渡が必要であった。

AITが訴訟を提起する時点で代理人弁護士がAITの原告適格性を精査できていなかったという点においては、弁護士の過失(malpractice)の責を今後カリフォルニア州での争いになる可能性もあるだろう。

Summarized by Tatsuo YABE – 2026-04-01

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原告適格の欠如により訴えが却下されたCAFC判決

AIT (Applications in Internet Time) v. Salesforce Fed. Cir. 2026-03-16

■ 原告 Applications in Internet Time (以下AIT)
■ 被告(被疑侵害者)Salesforce
■ 問題となった特許:
US73564821998年の親出願から継続し2008年に権利化)
US84841111998年の親出願から継続し2013年に権利化)
共に、19981218日の基礎出願(US09/215,898)からの継続出願

コンピュータネットワークを用いたビジネス/データ処理システムに関する。
Sturgeon氏及びSziklai氏(さらに5名)による発明。

■ 時系列による事実関係

① 1998
1998年、Nelson氏、Sturgeon氏、及び、Sziklai氏がASIAlternative System Inc)を設立;

② 2002年合意書(契約書)
ASI から Nelson氏に権利譲渡。
「全ての権利(特許出願・権利行使も含む」をNelson氏に譲渡。

③ 2005年:
Nelson氏とSturgeon氏がAIT (Applications in Internet Time)を設立した。

2006年合意書(契約書)
再度、ASINelson氏、及び、他関係者が2002年の合意書をNelson氏に売却した。 即ち、確認的な譲渡の位置づけで、CAFCはこれを「権利が完全にNeilson氏にあることを補強する文書」と認定した。

⑤ 2012年:
AITの主張によると、AITの創業者の一人、Sturgeon氏、が上記2件の権利(482は既に権利、111特許は出願審査中)をASIに譲渡した。

AIT の登場
2013年にAITが上記2件の特許を保有していると主張し、ネバダ州連邦地裁で Salesforce を提訴した。

 

■ 地裁での判断
被告、Salesforceは非侵害、権利無効、及び、原告適格欠如の略式判決を求めたが、地裁は原告適格性欠如に関しては受理しなかった。Salesforceは原告適格欠如に対してのみCAFCに控訴し、地裁に差し戻しとなった。Salesforceは同地裁にて、新たに「原告適格の欠如」を申し立てた。地裁で2006年の合意書(契約書)で本件特許に関わる全ての権利はNelson氏に譲渡されており、2012年の譲渡書はそもそも権利を有さないASI社からAIT社への譲渡であったと判断した。

同略式判決を不服とし、AIT(権利者)はCAFCに控訴した。

■ CAFC
CAFCは上記2002年と2006年の合意書(契約書)を締結地の州法(カリフォルニア州法)で解釈した。

カリフォルニア州法ではパロール・エビデンス・ルール(口頭証拠排除の原則)に対しては緩やかに適用し契約書の文言が不明ではない場合においても外部証拠を用いることを許容する。

しかし、 基本原則は、 契約書の明確な文言を優先し、2012年の譲渡書(ASIから AITに譲渡)にNelson氏が同意したという証拠が明確ではない。上記2件の特許証には共に譲受人はAITと記載されているのでAITが権利を所有するという推定が働く。しかし、Salesforceは当該推定に適切に反証した。即ち、カリフォルニア州法に基づき外部証拠を勘案したとしても2002年と2006年の合意書(契約書)に曖昧性はない。故に2002年と2006年の合意書(契約書)の条項を文言通り解釈し上記2件の特許に関する全ての権利はNelson氏に帰属する。よって、AITは原告適格を欠く。

地裁判決を支持する。

以上